アスタキサンチンって何だろう?
はじめまして。わたしは「アスタキサンチン」が秘める素晴らしい健康パワーを、みなさんにお知らせするために研究をしている学者、アスタです。
アスタ博士の助手のトコトリです。
このページでは、近年サプリメントなどで話題となっている「アスタキサンチン」について、その性質や特長をご説明したいと思います。
わたしも一緒に勉強しながらお手伝いいたします。
「アスタキサンチンは、 昔から身近に存在するカロテノイドの一種です」
赤色の食べ物といえば何を思い浮かべますか? まずは、トマトやニンジンといった、とても身近な食材をまず思い浮かべると思います。これらは私たちの健康によいとされている緑黄色野菜。その代表格であるトマトの赤い成分リコペンや、ニンジンの橙色成分β-カロテンは、「カロテノイド」と呼ばれる天然色素で、アスタキサンチンも、これらと同じカロテノイドの仲間です。
なんだかさっそく、カラダに良さそうな気がしてきました。 アスタキサンチンはいったいどんな食べ物から摂れるのですか?
私たちは昔から食べていた、エビ、カニ、鯛といったこれもまた身近な海産物からアスタキサンチンを摂りいれてきました。これらの赤い生物はアスタキサンチンを含む餌を多く取り入れて体を赤くします。ただしこれは、見た目が鮮やかできれいになるためではありません。厳しい自然界を生き抜くためなのです。
厳しい自然界を生き抜くため?一体どういうことなのでしょう。
鮭の切り身はなぜ赤い?
トコトリさん、突然ですが、お魚の鮭の切り身は何色ですか?
ええと、火を通す前はわりと鮮やかな赤色ですよね。外国ではサーモンピンクともいいます。
その通り。でも実は、鮭って生まれた時は白身の魚なんですよ。
そうなんですか!?あんなに真っ赤なのに?
実は、鮭を赤くしている赤い色素こそが、アスタキサンチンなのです。鮭の一生は、川の上流で生まれ、海に移動して広い海を回遊し、動画のように産卵のために故郷の川を遡ります。他の魚とくらべても、大変厳しい環境でストレスにさらされていますよね。その過酷な運命に立ち向かうために、アスタキサンチンを多く含むオキアミを餌にして取り入れて、ストレスを受ける筋肉に貯めているから身が赤いのです。鮭は長い旅の果てに生まれ故郷の川に戻り、アスタキサンチンを卵に引き継いでその生涯を終えます。浅瀬で生まれた卵は、強い紫外線にさらされますが、このアスタキサンチンによってそのダメージから卵を守ることができるのですよ。
アスタキサンチンのチカラで命を守るヘマトコッカス藻
アスタキサンチンは赤い海産物で自然と口にしているということでしたが、最近、アスタキサンチンのサプリメントもよく目にするようになってきましたよね。サプリメントに含まれるアスタキサンチンも赤い海産物から取られているのですか?
実は、海産物からアスタキサンチンを抽出するのは非常に難しいので、サプリメントとして製品を作る量を確保できないか、出来ても非常に高価なものになってしまうのです。
今よく目にするようになってきたほとんどの製品は、「ヘマトコッカス藻」という植物から成分をとり出しています。ヘマトコッカス藻は、恵まれた環境下では緑の体で成長し、増殖しますが、厳しい環境下になると、体内でアスタキサンチンを作り出して赤くなり、休眠状態で自らの命を守るのです。
これも鮭と同じ自然環境に備える天然のチカラですね!
ダメージから細胞を守る抗酸化力とは
では、なぜ鮭やヘマトコッカス藻は、アスタキサンチンによってダメージから守られるのでしょうか?その答えは、アスタキサンチンの強い「抗酸化作用」にあります。
「抗酸化」って、美容の分野や健康面でよく耳にするようになりましたね。
「抗酸化」とは「酸化に抗う」こと。酸化とは、りんごのかけらが変色したり、金属がさびたり、油が劣化して黒くなったり……といった、日常生活で何気なく見ているこれらの現象のことです。物質が空気中の酸素と結びついて起こる反応で、物質の見た目だけでなく、性質にも大きな変化を起こします。それは呼吸で酸素をとり入れている私たちのカラダも同じです。
呼吸や食事によってカラダにとり入れられた酸素と栄養素は、細胞内でエネルギーに変換され、様々な生命活動に使われます。ところがその過程で、一部の酸素は物質を酸化するチカラが非常に強い「活性酸素」に変化してしまいます。
「活性酸素」って悪いものなのですか?
「活性酸素」はその強い酸化力を使って、体内に侵入してきた病原菌を退治する役割を持っているので、人間が生きていく上で必要なものです。しかし、過剰に発生すると、人間の正常な細胞まで傷つけてしまい、様々な病気の原因になると言われています。
本来わたしたちの体内には活性酸素を無毒化するチカラが備わっているので、通常ではカラダに影響はありません。ただし紫外線や暴飲暴食、喫煙、精神的なストレスなどで「活性酸素」が非常に多く発生する環境では、体内に備わった「抗酸化力」だけでは足りなくなってしまいます。また、加齢によっても「抗酸化力」は衰えていきますので、わたしたちは抗酸化作用の強い成分を、積極的に摂り入れていく必要があるのです。
アスタキサンチンの抗酸化力
抗酸化力の大切さはわかったのですが、では、その抗酸化力を積極的に取り入れていくにはどうしたらいいでしょうか。
抗酸化作用のある成分は、他にもいくつかあるので、食物から自然と取り入れられています。しかし、その作用がより強いものを積極的に取り入れていくほうがより効率的ですよね。
アスタキサンチンは優れた抗酸化力を持つことで知られています。その強さはおよそ、β-カロテンの5倍※1、CoQ10の800倍※1、ビタミンEの1000倍※2、ビタミンCの6000倍※1です。この優れた抗酸化力がアスタキサンチンの最大の特徴なのです。
※1:一重項酸素を消去する力 ※2:脂質の酸化を防ぐ力
博士、この一重項酸素とはなんですか?
活性酸素には色々な種類があって、私たちはそれぞれの活性酸素を無毒化する抗酸化成分を体内に持っています。
ただ、その中でも一重項酸素という活性酸素については、体内に無毒化するチカラを持っておらず、外から摂取するしか方法がないのですが、アスタキサンチンはその「一重項酸素」を抑えるチカラにとても優れているのです。
アスタキサンチンの抗酸化力は、なぜ強いの?
博士、アスタキサンチンのすごさはわかってきたのですが、なぜアスタキサンチンはこんなにも強力な抗酸化作用をもっているのでしょうか。
とても良い質問です。そのヒミツは、私たちの細胞におけるアスタキサンチンのあり方にあります。次の図をみてください。私たちのカラダを作っている細胞は、細胞膜という二重の膜で守られています。先ほど挙げたようなほかの抗酸化成分は、細胞膜の中か外にしか存在できないのに対して、アスタキサンチンは、細胞膜を貫通する形で存在できるので、細胞全体を守る力に優れているのです。
なるほどー!細胞膜をアスタキサンチンが強力に守るから細胞自体も酸化に抗えるのですね。
アスタキサンチンの抗炎症作用
さらにアスタキサンチンは、抗酸化作用のほかに「抗炎症作用」でも優れた効果を示します。以下のグラフを見てください。
この研究は、ぶどう膜炎を実験的に起こしたラットの房水※中の炎症度合いを調べたものです。ブドウ膜炎になったラットは、炎症度合を示すTNF-αの濃度が非常に高くなっていますが、アスタキサンチンはこれをしっかり抑制しています。
※眼球を満たす体液
最近は、慢性の炎症が様々な病気や老化の原因であることがわかってきているので、食品でこんなに抑えられるかもしれないというのは、とても良いニュースですね。
アスタキサンチンの抗酸化パワーで、健やかな毎日を
アスタキサンチンって本当にすごい天然色素なんですね。ますます研究が楽しみになりました!ところで、わたしたちはどのようにアスタキサンチンを摂ったらよいのでしょうか?
現在、様々な製品に配合されているアスタキサンチンですが、研究結果が得られている6mg以上を食品から摂るのは実は結構大変なのです。 最近の研究から、約3ヶ月、毎日12mg以上のアスタキサンチンを摂ることで、より体感しやすいという結果が得られました。ますます摂るのが大変ですね。
たしかに、これだけの食材を毎日続けるのは大変かもしれませんね。。
ですから、一般的にはサプリメントで摂るのがよいでしょう。製品化されているアスタキサンチンの大部分が、「ヘマトコッカス藻」由来で、エビやカニ由来ではないため、甲殻類アレルギーの方でも安心です。でも念のため、原料を確認するのを忘れないようにしましょう。
「アスタキサンチンラボ」では、様々なカラダの悩みに、アスタキサンチンの抗酸化作用を試した研究結果を集めています。ぜひ、気になる研究を見ていってくださいね。
アスタキサンチンの抗酸化作用を高める「トコトリエノール」という成分についても研究しています。こちらも合わせてご覧ください。